充電式電動工具には、インパクトレンチやインパクトドライバー、ラチェットにサンダーなど多数のツールがあります。
コードレスで便利な道具ですが、皆さんはその動力源であるバッテリーの扱いには気を付けていますか?
バッテリーは正しく扱わないと、劣化を早めて寿命が短くなります。
今回は、バッテリーの正しい充電方法・長期保管する際の注意点を紹介します。
バッテリーの特性を知り、正しく扱って寿命を延ばしましょう!
電動ツールのバッテリーについて
電動工具のバッテリーには、リチウムイオン、ニッケル水素、ニッケルカドミウム(ニッカド)など数種類ありますが、最近のバッテリーにはリチウムイオン電池が使われることが多くなりました。
その要因として、次のことがあげられます。
- 環境負荷の少ない材料で作られているため、廃棄時の有害物質の発生が少ない。
- エネルギー密度が高く、高電圧を維持しやすい。自己放電が少ない。
- メモリー効果が発生しない為、充放電の繰り返しや継ぎ足し充電ができるので使い勝手がいい。
繰り返し継ぎ足し充電を行うと、症状は顕著になり、最大容量が低下したように感じる。
メモリー効果はニッカド電池やニッケル水素電池で起こる現象であり、これらのバッテリーは継ぎ足し充電に適していない為、放電してから(容量を使い切ってから)充電しなければなりません。ニッカドとニッケル水素ではこのような手入れの面倒さがあります。
リチウムイオンバッテリー
リチウムイオン電池は残っている容量の上から継ぎ足して充電できるという使い勝手のよさから、電動工具の他にスマートフォンやノートパソコン、モバイルバッテリー、デジカメ、携帯ゲーム機など、様々な機器に採用されています。
エネルギー密度が高く高電圧を生み出し、軽量かつ大容量、さらに充電・放電の繰り返しに強いので、電動工具のバッテリーに適しています。
端的に言えば、
「コンパクトだがパワフル!スタミナがあって長寿命!」
ということです。
ここまでの説明ではいい点ばかり述べましたが、その性能も正しい管理をしてこそです。全てのバッテリーは、持ち主の使い方と使用環境で、その性能と寿命が大きく左右されます。
長持ちさせる充電方法
普段の扱いで一番気を付けなくてはいけないポイントは、バッテリーの充電です。誤った充電方法では、バッテリーの寿命を極端に短くしてしまうので気を付けましょう!
周囲温度10~40℃の範囲で充電する
リチウムイオン電池の最高許容周囲温度は45℃。それ以上の高温下ではバッテリーはダメージを受け劣化します。
また、充電時にも発熱するため、使用後すぐのバッテリーは充電せず、きちんと冷ましてから充電しましょう。
充電サイクルには気を付けよう
メモリー効果の影響がなく継ぎ足し充電が可能なリチウムイオンですが、充放電を繰り返すことで最大容量は低下します。
リチウムイオンの充電回数は一般的に500回とされ、充電から放電までを1回とカウントします。少し減ったからとむやみに充電してしまうと回数を消費してしまいます。
500回の充電回数に達した時点での最大容量は約60%まで低下しているとされ、長い目で見ればこの充電サイクルを少なくするほどバッテリーの寿命は延びると言えます。
容量が充分にある時は充電しないようにし、機器が動かなくなる手前で充電するのが望ましいです。
とはいえ、充電を控えて使用中にバッテリーが切れてしまってはいけませんので、あまり過敏にならないように。
※「充電回数1500回」などのバッテリーもあるので、購入の際にはその点にも注目してみましょう。
充電方法まとめ
- パワーが弱くなったら充電する。
- バッテリーは高温に弱い。
- 充放電を繰り返すと容量が低下していく。
- 充電回数に達したら寿命ではない。
- 劣化したバッテリーは蓄えられる容量が低下する。
バッテリー保管時の注意点
充電方法の次は保管の仕方です。
充電同様に誤った保管方法では、バッテリーの寿命を著しく低下させます。
充電方法に関連することも多いので、どちらも合わせて実行してください。
高温下に置かない!
前述した通り、リチウムイオン電池の最高許容周囲温度は45℃です。通常はここまで高温の中に置くことはないでしょうが、例えば「真夏の車内に起きっぱなしにする」や「炎天下の地面の上に直接置いて放置する」などは、バッテリーに負荷が掛かります。
保管の際は、涼しい場所(暑くならない場所)で保管するようにしましょう。
湿度の高い場所に置かない!
当たり前のように全ての電子機器に言えることですが、バッテリーや電動ツールも水に弱いです。
保管場所の湿度が高いと、機器の内部やバッテリーと電動ツールの接点端子が錆びてしまい、上手く通電できなくなります。
購入時に、収納ケースの中に乾燥剤が入っていたと思いますが、それは捨てずに入れておきましょう。無ければお菓子などに付いている乾燥剤を入れておけばいいです。
長期間保管するのならバッテリー残量に気を付けよう!
バッテリーは残量0の状態に弱く、これが長期間続くとダメージを受けます。
リチウムイオンは自然放電が少ないバッテリーではありますが、全く放電しないわけではないので長期保管時には残量に気を付けなければなりません。
だからといって、バッテリーを使い切ってから一日二日で劣化するわけではないので、残量が0になったからと急いで充電しなくても大丈夫です。あくまでも長期間保管する場合は残量に気を付けよう!ということです。
自宅用の電動ツールでは、一度使ってから一年以上使わないことや、前に充電したのがいつかわからないということもあるでしょう。そのような場合には、自然放電をして残量が0になってしまい、過放電に陥る恐れもあります。
長期間放置すると自然放電してしまうので、保管中のバッテリー残量の確認を忘れてしまうという方は、保管前には満充電にしておくことをおすすめします。
それでも半年に一回は残量を確認するように心掛けましょう。
過放電とは?リチウムイオン電池は過放電状態が続くと、バッテリーをダメにしてしまいます。
バッテリーには最低電圧を下回らないように保護装置が組み込まれてはいますが、残量がなくパワーが落ちた状態で無理に使い続けたり、前述したように長期間残量が無い状態が続くと深放電状態になります。
そこから完全放電状態が続くと劣化が著しく進行し、最低限必要な電圧を下回って過放電に陥ります。
過放電になると、最悪の場合には再充電することができなくなる破損状態となり、こうなると回復することは出来ないので処分するしかありません。
繰り返しになりますが、
充電の際はツールが動かなくなる手前で充電を行い、
長期保管の際は保管中に残量が0にならないように定期的に確認しましょう。
保管方法まとめ
- 高温下に置かず、涼しい場所で保管する。
- 湿気対策をしておく。
- 長期間保管する場合は、満充電にしておく。
- 長期保管時は過放電に気を付け、定期的に残量を確認する。
- 過放電状態が続くと、バッテリーは充電不可になる。
https://ko-gubako.com/2021/10/12/electric-impact/
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