割れたプラスチックや、車・バイクのバンパーやフェンダー、カウルといった樹脂パーツの割れや欠けの補修に頭を抱える人は多いでしょう。
最近のプラスチック用接着剤やパテには強力な製品も多いですが、そのほとんどの製品には「一部のプラスチックには使用できません」と記載されています。バンパーに使われているポリプロピレンはその一部のプラスチックに当てはまるため、通常の接着剤やパテでは十分な接着力は期待できません。
そこで今回は、修理対象と同じ素材を溶かして溶着することで高い強度を得られる、整備工具ストレートのプラスチックリペアキットを紹介します。
【ストレート】プラスチックリペアキット 17-780
この製品は、亀裂の入ったプラスチックを補修する際に、付属のプラスチック溶接棒から母材と同じ材質のものを選び、溶接棒を溶かして亀裂を埋めて溶着することができます。
また、付属のステンレスメッシュを亀裂箇所に当てて、コテを押し付けて母材に溶かし込むと、さらに強度を上げることができます。
劣化して痩せて強度が落ちてしまった樹脂パーツも、同じ樹脂素材で厚く盛って補強することができます。
対応している樹脂素材も多く、このツールキットで多くのプラスチック製品の補修が可能となります。
同じ素材でくっつけるといった単純な接着方法ですが、コテの使い勝手がよく、今までにありそうでなかった優れた製品です。充電式でコードレスという点も持ち運びができて便利ですね!
プラスチックリペアキットの仕様と溶接棒の種類
【製品仕様】
- 内蔵電池:リチウムイオン 18650(DC3.7V/2400mA)
- コテ先温度:約420~500℃
【キット内容】
- 本体
- 先端保護キャップ
- コテA(写真右)
- コテB(写真左)
【付属品】
- ステンレスメッシュ 50×100mm:2枚
- ABS、PP、PE、PS プラスチック溶接棒:各5本
- PPプラスチック用ワイド溶接棒:5本
溶接棒の内容は、
- ABS
- PP(ポリプロピレン)
- PE(ポリエチレン)
- PS(ポリスチレン)
の4種の材質と、PPのみ幅の広いワイド棒が入った合計5袋(各5本)が付属されています。
ポリエステル系樹脂は、基本的に接着剤では充分な強度が得られないので溶着での補修がベストと言えます。
プラスチックリペアキットの使い方
コツや慣れは必要ですが使い方は簡単で、コテAとコテBで溶接棒を溶かして補修箇所を溶着します。
PPワイド棒以外の溶接棒は、コテBのパイプ部に差し込めるようになっているので、補修箇所にダイレクトに溶接棒を送り込むことができます。
PPワイド棒はパイプ部に入らないので、コテAで溶かしながら厚く盛るときや亀裂が広いときに使います。
溶着させた後はコテAで綺麗に均し、整形して仕上げます。必要であれはサンドペーパーやリューターで研磨することも可能です。

ステンレスメッシュで強度を上げる
付属のステンレスメッシュを使えば、亀裂箇所の強度補強や、穴が空いてしまった箇所の穴埋めまでできます。
ステンレスメッシュを金切りバサミで必要な大きさにカットします。補修箇所に置いたらコテAでステンレスメッシュの上から熱すると、母材が溶けてステンレスメッシュが埋め込まれていきます。母材が薄く表面に出てしまう恐れがあるときは、溶接棒で盛って覆いましょう。
穴埋めも同じ要領で、溶接棒でステンレスメッシュを覆い隠すように塞いでいきます。
溶着ピンとの併用で強度UP!!
以前、溶着ピンでの樹脂パーツ補修を紹介しましたが、溶着ピンを溶かし込むと写真のようにピンを刺したところに隙間ができてしまいます。
前回はアクリル系接着剤で補強しましたが、これをリペアキットを使って溶着ピンで亀裂箇所を繋げたあとに溶着棒で補強すればさらなる強度UPが期待できます。
★溶着ピンでのプラスチックリペアキットの紹介記事

先端パーツの追加で広がる用途
このリペアキットには付属のコテヘッドの他に、ハンダこて・ホットナイフ・溶着ピン・トーチといった取り替えヘッドが別売りで販売されています。
ハンダこてヘッドでは、コードレスのハンダとして役立つのはもちろんのこと、プラスチックリペアで細かい箇所の補修時にはこの先端が細いヘッドは便利です。
ホットナイフヘッドはプラスチック板の切断・整形に役立ち、トーチヘッドはシガーライターのような電熱トーチで、樹脂パーツを曲げたり変形させたい時に使えます。
溶着ピンヘッドは、前述したように溶着ピンを使っての亀裂の補修を行えます。溶着ピンのプラスチックリペアキットを持っていない方に、合わせて買うことを強くおすすめするヘッドアクセサリーです。
他製品ではこの向きで使えるものもありますが、このヘッドでは使えません。
全てセットにして売ってしまうのではなく、使用者が必要なヘッドアクセサリーだけを買い足すことができる点も良心的に感じました。
これらの追加パーツを使うことで作業の幅が広がるところも、このツールの面白いところです。
注意点
同じ箇所を煙が上がるまで続けて熱してしまうと、樹脂は炭化してしまい強度は格段に落ちてしまいます。
スイッチを切ってからも、しばらくはプラスチックを溶かせるだけの熱は持続しますので、適度にスイッチのON/OFFを切り替えて温度調整をするといいです。濡れタオルを用意しておいて温度調整をするのもいいでしょう。
また、コテ先端は500℃と非常に高温で、スイッチを入れてからの温度上昇が結構早いので、触れてしまわないようには気を付けましょう。また火事の恐れがあるので使用後は放置しないようにしましょう。
◆使用者の感想
- 同じような手法は昔からあり、昔ははんだごてでやっていたが、このツールは使い勝手がすごくいい!コテ先端は斜めカット形状で面が広く、整形が容易にできる。付属品も豊富で、追加パーツも販売されているので色々できるのも嬉しい!
- プラスチックの補修補強において現段階で最強のツール。充電式でコードが邪魔にならず作業しやすい。モバイルバッテリーを持っておけば充電の心配もなくどこでも持ち運べます。
- 溶着ピンやステンレスメッシュを併用したときの強度は、補修前よりも確実に上がっている。別売アダプターを買えば作業の幅も広がってすごく楽しい!本当におすすめできるツールです!
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