タイヤ交換でのホイールナットの締め付けには、トルクレンチが必須です。
タイヤに限らず、走行に影響する重要箇所のボルト・ナットには、「この力で締め付けてください」というようにメーカーがトルクを定めています。
この規定トルクを守らずに感覚で締めていると、最悪の場合脱輪してしまう危険があります。
そこで今回は、安全にタイヤ交換をするために必要なトルクレンチの選び方とおすすめ品4選を紹介します。
トルクレンチはなぜ必要?
目安トルク | 目安トルク | ||
---|---|---|---|
トヨタ | 103 | 日産 | 98~118 |
三菱 | 88~108 | ホンダ | 98~118 |
スバル | 78~98 | マツダ | 88~118 |
スズキ | 70~100 | ダイハツ | 98~118 |
トルク値(N·m)
タイヤを固定しているホイールナットには、どのメーカーのどの車種であっても必ず締め付けトルクが指定されています。
DIYでタイヤ交換をしているのを見ると、体重をかけて力一杯締め付けたあとに、さらにレンチを踏みつけて増し締めしている方がよくいますが、あれは明らかに強く締め過ぎです。
実際にトルクレンチを使う分かると思いますが、乗用車でそんなにも目一杯力を入れることはありません。軽自動車になるとさらにトルクは低いです。
締め付けトルクが弱いと走行中にタイヤが外れる恐れがありますが、不安だからと力一杯締め付けているとネジ山が潰れて固着して緩められなくなったり、負荷が蓄積したボルトがねじ切れて走行中に脱輪することもあります。
そうならないためにも、タイヤ交換ではトルクレンチを使ってのトルク管理は必ず行う必要があります。当然ですがプロの整備では当たり前の作業です。
タイヤ交換用トルクレンチの選び方
トルクレンチは、タイヤ交換以外でも整備作業のあらゆる場面で使われるのでその種類は非常に多いです。
まずはタイヤ交換に適したトルクレンチを選ぶポイントを解説し、そこからおすすめの製品を紹介します。
「安いから、評判がいいから」といった理由で適当なものを購入内容にしましょう。
差込角は1/2″
写真の四角部分がソケットを差し込むところ
普通車の足回り整備に使われるソケットやラチェットレンチといった工具では、差込角1/2″(12.7mm)というサイズが一般的です。
市販のホイールナット用ソケットの多くがこのサイズとなるので、トルクレンチでも差込角1/2″を選んでおけばまず間違いありません。
差込角1/2″であれば、トルクレンチの全長も長さがあるので力がかけやすく、スムーズに作業ができます。ひとつ下のサイズの3/8″(9.5mm)でもできないことはないですが、全長が短いので力がかけにくく、効率は悪くなります。
測定トルク範囲
タイヤを固定しているホイールナットを締め付ける規定トルクの目安は、
軽自動車:70~90Nm
となりますので、この範囲を押さえたトルクレンチを選ぶ必要があります。
購入前に整備マニュアルで、自身の車の規定トルクを確認しておきましょう。
そして、トルクレンチの単位は「N·m (ニュートンメートル)」で表示されています。
整備マニュアルで指定トルクが「kgfm」で書かれていた場合は、【1Nm=0.102kgfm】なので、1kgfmは10Nmと考えて問題ありません。※厳密には異なりますが誤差の範囲です。
トルクレンチの使い方
タイヤ交換で使われるトルクレンチは、「プリセット型」というタイプが多いです。ここではこのプリセット型の使い方を説明します。
プリセット型のトルクレンチでは、「縦の目盛り(主目盛り)」と「横の目盛り(副目盛り)」を足した数字が設定トルクとなります。数字の大小はトルクレンチによって様々ですが、設定方法はプリセット型ならほとんど同じです。
設定したトルクまで締め付けると、「カチッ」という音とともにラチェットヘッドの首が振ることで、設定トルクに達したことを知らせてくれます。
【例題】
このトルクレンチは40〜200Nmの範囲を測定できます。
主目盛りは一番下の40の位置にあり、副目盛りは0の位置にあります。よってこの設定トルクは40Nmとなります。
主目盛りが100、副目盛りは0、よって100Nmとなります。
主目盛りが100と110の間で、副目盛りは7。
この場合は107Nmとなります。
使用上の注意点
トルクレンチの使用に関していくつか注意点があります。
トルクレンチで緩め作業はしない!
トルクレンチで固く締まったボルト・ナットを緩めると精度が落ちてしまいます。
精度を保ちたいのなら、締め付け時のトルク測定のみに使用にしましょう。
ダブルチェックは控えよう!
一度設定トルクで締め付けた後に、不安だから、念の為に、とカチッカチッと二度締めしてしまうことがあります。
これをすると設定トルクからズレが生じてしまいます。
そこまで大きなズレでないとしても、せっかく規定トルクで締めているのですから一回で十分です。一回目を信じられないなら二回三回と数を増やしても一緒です。
もしカチッとなったかわからないと不安なら、一度緩めてからもう一度締め直すことをおすすめします。
ダブルチェックを推奨する方もいますが、私はダブルチェックは必要ないと考えます。
保管方法
トルクレンチはデリケートな工具なので、誤った保管方法では精度が落ちてしまいます。
プリセット型トルクレンチでは、使用後に設定値を最小値に合わせておきましょう。
その理由は、トルクレンチの内部にはバネが入っているのですが、これの張力によって精度を保持しています。
使用した設定値のまま保管してしまうと、長時間バネにストレスが掛かった状態となり、張力に狂いが出て精度が落ちます。
最小値がバネには程よい負荷だと言えます。
また、湿気により内部にサビが発生するといけないので、乾燥剤(お菓子に付いているものでいいので)を一緒にケースに入れて保管しましょう。
取り扱い説明書に保管方法が明記されているなら、その通りに保管してください。
タイヤ交換におすすめのトルクレンチ4選
タイヤ交換にはトルクレンチが必須です。
最近は自分でタイヤ交換をする方も増えていますので、きちんとした知識を得て、安全に作業をしてください。
プロも使っているの信頼性の高いメーカー品や、DIYユーザーにもおすすめの低価格品も紹介します。
- 【エマーソン】トルクレンチセット
- 【KTC】ホイールナット用トルクレンチ
- 【TONE】ハンディデジトルク
【エマーソン】トルクレンチセット EM-29
【製品情報】
- 差込角:1/2”(12.7mm)
- トルク対応値:28Nm~210Nm
- 本体サイズ:幅500x奥行83x高さ73mm
- 重量:2.3kg(付属品・ケース含)
- 付属品:14/17/19/24mmソケット,21mm薄口ロングソケット/エクステンションバー
エマーソンのトルクレンチは、リーズナブルな価格と使いやすさからネット通販で高い評価を得ており、圧倒的な販売数を誇ります。
ベーシックなトルクレンチで、トルクの設定方法も触れば簡単に理解できるでしょう。
また、タイヤ交換に使えるソケットが付属されているので、別で購入する必要がないのも嬉しい限りです。
エクステンションバーとは、ソケットとトルクレンチの間に取り付ける延長棒のことで、車体とトルクレンチが近くて作業しにくい時に使用します。
作業者のことをしっかり考えて作られたセット内容で、評価が高いことにも頷けます。
高い品質と付属品の豊富さ、そして驚きの低価格で高い人気を集めているトルクレンチで、入門用におすすめです。
◆使用者の感想
- 以前、業者に依頼してタイヤ交換をしてもらったときに、インパクトで締めたのかバカみたいに締め付けられていて外すのに苦労しました。それからは自分で交換しようと思い、安くて評価の高いこのトルクレンチを購入しました。素人作業には十分すぎるほどしっかりした造りで、これなら安心してトルク管理できます。
- 初めてトルクレンチを買いましたが、しっかりした重量があって使いやすく、ケースにソケットも付いていて満足です!
- 今までクロスレンチで適当に締めていましたが、ディーラーで緩いと注意されたので思いきって購入。設定トルクになったときのカクッという感覚が分かりやすくて気に入りました!おすすめです!
- トルクレンチだけでなく、ソケットに延長ツールも付いていたので、これに決めました。安いので心配していましたが、丈夫な造りで長く使えそうです!本当に買ってよかったです!
【TONE-トネ-】プレセット形トルクレンチ ダイレクトセットタイプ
【製品情報】
- 差込角:1/2″(12.7mm)
- 歯数:20枚
- トルク精度:±3%
- 付属品:取扱説明書、校正証明書
- トルク設定は直接数値を読み取ることができるダイレクトセットタイプ。
- 製造国:日本
トルク範囲 | 一目盛り | 全長 | 重量 | |
---|---|---|---|---|
T4MN140 | 30〜140Nm | 1Nm | 450mm | 820g |
T4MN200 | 40〜200Nm | 2Nm | 526mm | 1400g |
TONEのダイレクトセットタイプトルクレンチは、グリップのスコープ内に直接数値が表示される作りとなっています。
従来のような主目盛・副目盛を読み取る必要がないため、設定ミスを防げ、締付けトルクの確認・管理が容易です。
細かな目盛りを読むのが苦手、老眼で見えにくい、といった方にも好評です。
あらかじめ設定したトルク値に達すると「カチッ」という音と手に軽い「ショック」でお知らせします。
国産品のため値段は高くなりますが、TONEというメーカーの信頼性と高い評価、そしてダイレクトセットタイプで人気の高いトルクレンチです。
◆使用者の感想
- TONEクラスの工具はやはり安心感があります。いつも目盛りで合わせるプレセット形を使っていたが、これは設定が簡単で素早く合わせられる。入門用にもおすすめですね。
- 老眼で細かな目盛りが読みにくかったが、このトルクレンチはスコープに数字が表示されるので見やすいです。仕事で使っていてもスムーズに設定が変更できてすごく便利。TONEの校正証明書もついて信頼度も高い。
- ダイアルはスムーズに回り、カチッと確かな手ごたえで大満足の製品。見た目も高級感があって格好いい。
- 他とは違う設定方法で周りからは羨ましがられます。グリップも太くて握りやすく、力を入れやすい。メイドインジャパンで価格は高いが使ってみて納得です。
【KTC】ホイールナット用トルクレンチ
【製品情報】
- 右回転の締め方向のみに適応。
- 全長はタイヤと手が干渉しない最適な長さの420mm。
- 締付トルクに達すると軽いショックで知らせるプリセット型。
- ラチェットヘッド36枚ギア。
- 不意のソケット脱落を防止するプッシュリリース式。ワンタッチでソケットの脱着が可能。
KTCからは、トルク固定のトルクレンチが出ています。
メーカー指定のトルク別専用設定のため、精度の高いトルク管理が可能です。
ラインナップは下記の通りです。
・103Nm(トヨタ・DAIHATSU)
・108Nm(日産・HONDA)
固定になるのでそれ以外のトルク測定はできませんが、自分の車にしか使用しないのなら、固定式の方が扱いは簡単です。
通常のトルクレンチはトルクの設定をしないといけませんが、それがわずらわしい、苦手だ、という人には調節不要の固定式がおすすめです。
◆使用者の感想
- カー用品店でトルクレンチの設定方法を教えてもらいましたが、自分には難しく面倒でした。簡単なものはないかと調べてみるとこの固定式を見付け、KTCの製品で評価が高かったので安心して購入できました。使い方はすごく簡単なので苦手な方にはおすすめです!
- タイヤ交換にしか使わないので、壊れにくそうなシンプルなものを探していました。このホイールナット専用というトルクレンチ毎回の設定も必要なく、まさに私の理想通りの品でした。
- トルクが規定値に達した時のカチッと感は非常に気持ちがいい!長さも適度な力で締められるように計算された絶妙な長さです。
- 仕事で使っていますが、トルクを合わせる必要がないので楽です。何に関しても専用品は強度があり、故障が少ないので長く使えます。
KTC 12.7mm (1/2インチ) ホイールナット用 トルクレンチ WCMPA108
【TONE】ハンディデジトルク
【製品情報】
- ラチェットハンドル、スピンナハンドルなどの手動用ハンドル類と、ソケットの間に取り付けて使用するデジタル式のトルク測定器。
- 左右両回転方向に対応。
- 能力:20〜200Nm
- 差込角:12.7mm
- 出力角:12.7mm
- 寸法:45x45x75mm
- 質量:0.184kg
TONEのハンディデジトルクは、デジタルタイプのアダプター式トルク測定器です。
これは、ハンドルツールに取り付けることで、普段使っているレンチがトルクレンチになります。
デジタル表示なので、数字が読み取りやすく、設定したトルクに近づくと音と光で知らせてくれます。
また、軽量コンパクトなので持ち運びしやすく、通常のトルクレンチのように収納場所もとりません。
必要なときにだけ取り付けて使用できるので、とても便利なアイテムです。
◆使用者の感想
- トルクレンチは持ち運びに困りますが、アダプター式だと小型で持ち運びや保管もしやすく、手持ちのハンドルと合わせて使えるので便利です!
- コンパクトで保管に便利。工具箱に入れていても邪魔にならず、必要なときだけ装着して使えるのも便利。精度も申し分なし!
- トルクレンチのカチッとはないので少し物足りないが、音で知らせてくれるので使用する上では全く問題なし。どれだけのトルクがかかっているかを見れるのが気に入っています。
- 小型で持ち運びに便利。出先で急に必要になったときでもさっと取り出せる。もちろんトルク管理も優秀なので、購入を検討しているならおすすめ。
【トルクレンチ】売れ筋ランキング
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