ボルトやナットなどのネジの緩み止め剤は、衝撃や振動によるネジの緩みを防ぐため、整備作業の必需品と言えます。
ロックタイトの緩み止め剤と言えば、ネジの緩み防止に使われる定番アイテムで、現在使っている方も多いと思います。
しかし、中強度や高強度など種類があり、どれを使えばいいのかわからないという方もいるでしょう。ネジサイズに合っていない強度の高いものを使うと、緩めることができなくなってしまうこともあります。
そこで今回は、【LOCTITE】ネジ緩み止め接着剤の種類と用途について詳しく紹介します。
ロックタイトとは?
ロックタイトの製品はその効果の高さと信頼性から、ネジ緩み止め剤の代名詞と言えるほどの存在です。整備業界ではごく一般的に使用されています。
ロックタイトの緩み止め剤は、嫌気性という特徴があります。嫌気性とは、その名の通り空気を嫌う為、空気に触れていると効果を発揮しません。空気に触れている間は固まらず、空気が遮断されると硬化します。
ボルトに緩み止め剤を塗布した後、締め付けることでネジ山全体に行き渡り、空気を遮断することで硬化します。
ネジ山間の緩み止め剤が硬化することで隙間がなくなり、強力な緩み止め効果が得られます。
形状は液状ボトルタイプと、固形スティックタイプがあります。どちらも嫌気性なので、ネジを締め付けて空気を遮断しない限りは硬化しません。
また、低強度,中強度,高強度と硬化強度があるので、使用箇所やねじのサイズに応じて使い分けが必要です。
液状タイプorスティックタイプ
液状タイプはネジ山に垂らして使用します。塗布がしやすくスティックタイプと比べて価格が安いので、普段使いには液状タイプを選ぶといいでしょう。
スティックタイプは、スティック糊のような使い勝手で液垂れがしないので、垂れ落ちが気になる箇所や塗布が困難な箇所、高所作業時などに最適です。
また、工具箱などに入れておいてもこぼれる心配がないので、スティックタイプは持ち運びにも便利です
スペック比較
液状ボトルタイプと固形スティックタイプのよく使われている標準的やネジ緩み止め剤です。
ここで紹介する以外にも粘度の違いや耐熱性の高い製品もあります。
液状タイプ ねじロック
品番 | 強度 | 色 | 使用ネジ径 | 取り外し | 使用温度 |
---|---|---|---|---|---|
222 | 低強度 | 紫 | M6以下 | 可 | -55~150℃ |
243 | 中強度 | 青 | M6~22 | 可 | -55~180℃ |
263 | 高強度 | 赤 | M6〜22 | 不可 | -55~180℃ |
緩み止め剤は、使用箇所やネジ径によって強度の使い分けをします。
小ねじには222低強度を、大きなボルトには243中強度を使用します。この二種類は一般的なハンドツールでの取り外しが可能です。
263高強度は基本的には取り外し不可ですが、ヒートガンやバーナーで230℃で5分間熱し、熱いうちに緩めることで外すことができます。
しかし、使用箇所によってはオイルなど可燃性のものがある、周辺に熱に弱いパーツがあるなどの理由でバーナーが使えないことがあります。後々分解する可能性があるなら高強度は使わないでおきましょう。
このことから強い方がいいからと、安易に高強度を選ぶと痛い目に遭います。奥まった箇所で緩むと困るものには使うこともありますが、分解の多い整備作業には低強度か中強度が適しています。
液体タイプの使い方
締め込む前に、ボルトやビスに垂らします。少量垂らすだけでも締め付けると全体に染み渡ります。
あとは締め込むだけ。はみ出たところは固まらないので拭き取ります。
袋穴の場合は、底に適量垂らし入れておきます。
ネジに塗布するだけでは、締め付けた際に奥まで行き渡らずに大半が漏れ出してしまう為です。
◆使用者の感想
- 中強度が一番使い勝手がいい。すぐに下がってくるミラーや、エンジンカバー、シリンダーヘッドの組み付け時に塗っておくと次回整備時まで不意に緩む心配がないので安心です。車やバイク以外にも、家のドアや椅子など緩んでくるネジに使えばイライラがなくなりますよ!
- 機械整備には塗るのが当たり前。ロックタイトが一番信頼性がある。特に液体タイプは使い勝手がよく、ポリッシャーのパッド取り付けボルトや電動工具のハウジングビスに使っています。
- 自転車やバイクの走行中に緩んでほしくないところには必ず使用しています。高強度では次回分解時に支障が出るので中強度か低強度がいいでしょう。他には子供のおもちゃやキックボードにも組立時に安全のために塗布しています。
固形スティックタイプ
品番 | 強度 | 色 | 使用ネジ径 | 取り外し | 使用温度 |
248 | 中強度 | 青 | M6~20 | 可 | -55~150℃ |
268 | 高強度 | 赤 | M20以下 | 不可 | -55~150℃ |
スティックタイプの緩み止め剤は、中強度と高強度の2種類になります。
248中強度はハンドツールでの取り外しが可能ですので、分解整備する機器やパーツへの使用に適しています。
268高強度は液状タイプと同様に、基本的には取り外し不可ですが、300℃まで熱することで取り外しができます。
使い方は、スティックのりのようにネジ山に塗りつけるだけと非常に簡単です。
使用箇所に応じてスティックタイプと液体タイプを使い分けると、整備作業がはかどります。
◆使用者の感想
- ずっと使い続けている超優秀なネジロック剤。液垂れせず便利ですが、小さいネジには少し塗りにくいかも。色もハッキリした発色をしており、塗った場所が一目でわかります。
- 液体タイプはこぼすと勿体無いので、固形タイプにしました。これを塗ったところは全く緩みもせずカチッと止まっています。一度の使用量はほんの少量で、保管時にカチカチに固まることもなく、趣味で使うなら一生モノになりそうです。
- 今まで液体タイプのロックタイトばかり使っていたが、締め付け時に余剰分が溢れてきたり、塗布時に垂れてきたりと困る場面もある。しかしこれはスティックのりのように使えて液垂れがないのが最高!場所により使い分けしています。
まとめ
サービスマニュアルにも緩み止め剤の記載があるため、ねじロックの需要も増えています。
プロは当然のように使っている基本の一手間なので、ホビーユーザーも安心安全のために取り入れることをおすすめします。
中強度をひとつ持っていれば幅広いネジサイズに使え、多くの場面で対応できますよ。
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