工具を購入する際、価格はもちろんのこと、知名度やデザインも選ぶポイントとしては重要ですよね?
工具メーカーの数はとても多いので、初めて工具を揃えようという方にとってはどのメーカーがいいのか迷うことでしょう。
そこで今回は、日本国内や世界各国の工具メーカの特徴や選ばれている理由を紹介します。
初めて工具を揃えようという方や、工具の買い替えを検討している方に向けて、メーカーブランド選びの参考になるようにそれぞれまとめていますので、比較検討に役立ててください。
工具メーカーの比較・選び方
ハンドツールを使う頻度の高い自動車整備士や各機器メンテナンス業界では、工具の質は作業性に直結する為、強いこだわりを持った職人さんが多くいます。
工具メーカーは国内、海外に数多くありますが、メーカーごとに得意とする分野があります。
使用者の好みもありますが、
「ソケットレンチは〇〇〇で揃えて、メガネレンチは□□□が使いやすい!」というように、道具の種類でメーカーを分けるメカニックも多いです。
手に馴染むから、デザインが気に入ったから、という理由ももちろんありますが、「使っている人が多いから」ということは良いものであるとも言えるので、普及率で選ぶのも立派な理由になります。
保証や部品供給の有無
購入後の保証がしっかりしているメーカーは選ぶ価値が高いです。
保証期間は様々で、半年保証や一年保証が一般的ですが、なかには永久保証の工具があり、破損したときには無償交換してくれるメーカーもあります。
また、例え保証期間が過ぎていたとしても有償修理をしてくれるところがほとんどですが、部品供給を行ってくれていれば自分で直すことができます。長く使っていくのならラチェットレンチのギアや固定ビス、リペアキットといった部品が出ていると安心ですね。
部品供給という点では、海外メーカーよりも国内メーカーの方が手に入りやすいです。海外メーカーでは物によっては輸入待ちとなり、数ヶ月かかることもあります。
日本の工具メーカー
世界中には数多くの工具メーカーがあり、100年以上の古い歴史を持つメーカーも多いです。世界と比べると日本の工具メーカーはまだまだ歴史は浅いですが、今では世界中のメカニックに認められ、多くの国で愛用者のいるメーカーも増えてきました。
昔ながらの老舗メーカーから、今注目の新興メーカーまで多数紹介します。
KTC 京都機械工具
1950年創業、京都府久世郡久御山町に本社をおく。
日本を代表する総合工具メーカーで、プロからホビーユーザーまで誰でも扱いやすい工具が揃っています。
工具セットの種類も豊富で、初心者から上級者まで納得できるラインナップを取り揃え、収納ツール(工具箱やキャビネット、ワゴン)も充実しています。
ソケットレンチやメガネレンチ等の基本工具だけではなく、自動車整備用の特殊工具も多く、KTCで探せばほとんどの問題が解決できるといえます。
KTCの中でもハイクオリティなnepros(ネプロス)シリーズは多くの整備士の憧れであり、迷ったならKTCを選んでおけば間違いないでしょう。


Ko-ken(コーケン) 山下工業研究所
1946年設立、静岡県掛川市に本社をおく。
ソケットレンチの専門メーカーであり、工具の品質、強度は国内トップレベル。
他社では扱っていない特殊なサイズのソケットもコーケンなら手に入り、トルクスなどの特殊形状も多く扱っているため頼りになります。
シンプルなデザインと工具の強度の高さは秀逸で玄人好み。ラチェット等のハンドルやソケットは、全てコーケンで揃えている整備士も多いです。
また、Ko-kenのなかでも上位ブランドのZ-EAL(ジール)シリーズは、ソケットレンチ専門メーカーのノウハウが注ぎ込まれた緻密な設計で、ラチェットの空転トルクの軽さは随一。一度使うと病みつきになります。
クオリティーの高さは海外でも高く評価されています。価格も高すぎないことから、プロに限らずホビーユーザーにも愛用者が多いです。


TONE(トネ)
1925年創業、大阪市浪速区に本社をおく。旧社名は前田金属工業。
ハンドツールやエアーツールなど、幅広い業種に展開している国内屈指の総合工具メーカー。1938年に日本で初めてソケットレンチを作った工具メーカーでもあり、工具のクオリティの高さは世界トップレベル。なかでも、トルクレンチの質の高さに定評があります。
ホームセンターで見かけることも多く、リーズナブルな価格でありながら機能性はもちろんのこと、質感やカラーリング、高いデザイン性で人気があります。初めての工具セットにもおすすめのメーカー。

TOP(トップ)
1939年、新潟県三条市に設立。
工具の産地、新潟県を代表する大手工具メーカー。レンチ類を始めとした多種多様な製品を取り扱っており、特にモンキーレンチに定評があります。

ANEX(アネックス) 兼古製作所
1949年設立、新潟県三条市に本社をおく。
ANEXは、兼古製作所によるドライバーやビットを主力としたブランド。創業以来社内一貫性を実現し、独自の生産技術を確立。強靭なビットやなめたねじを外すアイデアツール等が人気があります。

ENGINEER(エンジニア)
1978年設立、大阪市東成区に本社をおく。
電気・電子機器業のプロ向け工具を製造しており、ペンチやプライヤーを主力としています。
錆やなめて角が丸くなったボルト・ナットを外す「ネジザウルス」が有名で、自衛隊仕様があるほど実用性と信頼性が高く、人気を博しています。

VESSEL(ベッセル)
1916年設立、大阪市東成区に本社をおく。
創業100年を超えるドライバーのトップブランドであり、その国内シェアは半数以上を締めています。
多くのホームセンターで販売されているので入手がしやすく、品質の高さからもDIYユーザーのみならずプロにも愛用者が多い信頼性の高いメーカーです。
TOHNICHI(トーニチ) 東日製作所
1949年設立、東京都大田区に本社をおく。
日本を代表するトルク器機専業メーカー。トルクレンチ一筋で研究開発をしてきたメーカーなだけに、その精度と使い勝手はトップクラス。海外からも高く評価されています。
精密器機だから信頼できるものを、という方に選ばれている安心の国産メーカー。

フジ矢
1923年創業、大阪府東大阪市に本社をおく。
ペンチ・ニッパーの国内トップブランド。組み立て、焼入れ、刃付け、研磨といった重要な作業は、職人が手作業で一丁一丁丁寧に仕上げています。
老舗メーカーならではの徹底した品質へのこだわりの高さが魅力で、長年親しまれている安心のメーカーです。

IPS 五十嵐プライヤー
1940年創業、新潟県見附市に本社をおく。
IPS(アイ・ピー・エス)ブランドの高精度なプライヤー・ウォーターポンププライヤを製造販売する工具メーカー。
くわえた物を傷つけないように、くわえ部を樹脂で覆った「ソフトシリーズ」が看板商品。
3.peaks スリーピークス技研
1940年設立、新潟市三条市に本社をおく。
ペンチやニッパーを主力とし、切れ味抜群のニッパーは刃の形状や角度違いなどラインナップが豊富。スリーピークス独自の機能を持った工具も多く、使い勝手の良さから愛用者が増えています。
刃の研ぎ出しから合わせ面の微調整といった、全ての最終仕上げを職人が手作業で行う高いこだわりで、品質の高い工具を提供してくれます。

HOZAN(ホーザン)
1946年創業、大阪市浪速区に本社をおく。
電子機器工具を中心に、様々な業種の現場での使用を想定した質の高い工具を取り扱い、そのラインナップは多岐にわたります。
圧着工具やワイヤーストリッパー、電気工事士技能試験に適した工具セットなど、電工工具が優秀。

アメリカの工具メーカー
Snap-on(スナップオン)
1920年創業。アメリカの大手工具メーカー。戦闘機や航空関連の整備用にも採用されています。
ソケットレンチを発明したメーカーでもあり、知名度の高さは世界No.1。整備工場へセールスマンが工具を積んだ移動バンで回ってくれるバンセールスが有名です。
工具全体の強度が高く、特にメッキは耐久性が高く剥がれにくい。好みは分かれますが、硬度の高いレンチ類は「しなり」が無く感触がダイレクトに伝わるので、それが好きな人はスナップオンを選びます。
非常に高価ではありますが、品質・強度・耐久性が高く、永久保証付きの工具もあり長く安心して使えます。デザイン性も高く整備士がもっとも憧れる工具メーカーと言えるでしょう。
Mac Tools(マックツールズ)
1938年創業。アメリカをはじめとした世界中に愛用者がいるプロフェッショナルツールメーカー。
日本にも愛用者が多く、スナップオンと比較されることが多いが、工具の品質・剛性では引けをとりません。物によってはスナップオン以上の使い勝手の良さがあるが、値段も同等に高い。
所有欲を満たしてくれるハイブランドの工具メーカーです。
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ドイツの工具メーカー
KNIPEX(クニペックス)
1882年創業。ヨーロッパを代表するトップブランド。プライヤー、ペンチ、ニッパーなどの握り物工具を専門とする工具メーカー。
プライヤー系の機能性の高さには定評があり、ガタつきの少なさ、食いつきの良さは一線を画します。
握り物工具はクニペックスを選んでおけば間違いがないと言われるほど信頼性が高いです。ウォーターポンププライヤーの「コブラ」が人気商品。

HAZET(ハゼット)
1868年設立。ヨーロッパ有数の総合工具メーカー。
1950年からフォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、オペルに専用工具の供給を行い、数年後にはBMWなどのヨーロッパ車への供給も始めました。現在はポルシェモータースポーツのサポートも行う大手メーカー。
ドイツの工具メーカーらしく耐久性の高さに定評があり、とにかく頑丈。ヘックスソケットが有名であり、精度と強度の高さは世界トップレベルです。
STAHLWILLE(スタビレー)
1862年設立。ドイツを代表する総合工具メーカー。
スパナやメガネレンチが主力で、強度の高さと握った時のフィット感は評価が高く、油が付いても滑りにくい梨地仕上げが特徴。
航空機整備用としても、質実剛健なスタビレーが急速にシェアを拡大しています。

Wera(ヴェラ・ベラ)
1936年創業。ヨーロッパで不動の人気を誇る、ドイツを代表するドライバー専門メーカー。
人間工学に基づいた力の掛けやすいグリップと、ダイヤモンドコーティング・レーザーチップが施されたチップの食い付きの良さは世界最高とも言われています。
ドライバー、ビット、ヘキサゴンレンチが人気商品。

Wiha(ビーハ)
1939年設立。ドイツの老舗工具メーカー。
ドライバーやプライヤー類を主軸とした製品造りを行い、ドライバーではWeraやPB Swiss Toolsにも引けをとらず、プライヤーではKNIPEXと競合しているトップメーカー。
アメリカでの人気が高く、世界中でシェアを拡大しています。
フランスの工具メーカー
FACOM(ファコム)
1918年創業。フランスで圧倒的なシェアを誇る、世界レベルのハイブランド工具メーカー。
72枚ギアの丸型ラチェットハンドルが世界中で高い評価を獲得し、世界一のラチェットハンドルとして知られています。振り幅の少なさと、内歯式のヘッド構造により高トルクに耐えられる強度が魅力。
ラチェットハンドルが有名だが、その他にも幅広いラインナップを誇るフランスNo.1の総合工具メーカーです。
スイスの工具メーカー
PB SWISS TOOLS(ピービー・スイス・ツールズ)
1878年創業。ドライバーが非常に有名で、世界中で高く評価されている工具メーカー。
先端の加工は素晴らしく精密で、ビスへ吸着するような感覚があります。新素材を使った独自の「スイスグリップ」は、握り心地が非常によく滑りにくい。他とは一味違った使用感を体感できます。
質の高いドライバーを求めるならPBで揃えるのがおすすめです。ドライバーのほかに、無反動ハンマー、六角レンチなども評価が高いです。

カナダの工具メーカー
SIGNET(シグネット)
1990年創業。低価格高品質な工具で世界中で愛されている工具メーカー。自社工場を持たず、研究・開発は行うが製造は他社に委託しています。
ギアレンチを主力とし、基本工具から特殊工具まで幅広いラインナップを持ちます。プロのメカニックはもちろんのこと、コストパフォーマンスが非常に高いため、日本でもDIY用として多くのユーザーに選ばれています。
ギアレンチにおいては世界トップレベル。

スウェーデンの工具メーカー
BAHCO(バーコ)
1886年創業。世界で始めてモンキーレンチを作ったメーカーとして有名。
鮮やかなオレンジが特徴的なモンキーレンチのトップブランドです。BAHCOでは一貫して「アジャスタブルレンチ」と呼んでいます。
モンキーレンチの他にはニッパーやプライヤー類が秀逸で、人間工学に基づいて設計されたエルゴハンドルは長時間使用しても疲れにくい。キャビネットなどの収納ツールも人気が高いです。
現在はスナップオン傘下。
コスパ重視 工具販売店
安価に工具を購入できるところとして、日本全国に展開している工具販売店の【STRAIGHT】と【アストロプロダクツ】を紹介します。
中国/台湾製の工具を安く購入できるので、工具にお金をかけたくない人や入門用にはおすすめです。
工具だけではなく、自動車・バイク整備の特殊工具、ケミカル類を多く扱っているので、困ったときによく駆け込みます。ホームセンターでは手に入らないものがたくさんあるので、知っておくと助かりますよ!
また、上記で紹介した国内/海外の有名メーカー品も一部取り扱っています。
STRAIGHT(ストレート)
全国に約30店舗の直営店がある整備工具専門店。
販売している工具の多くが自社製品だが、KTC、Ko-ken、フジ矢、PB Swiss Tools、KNIPEXの扱いもあります。
ソケットレンチでは、ストレートでのみ販売されている国産メーカーのFLAG(フラッグ)があり、永久保証付きです。
多くの基本工具や特殊工具が低価格で販売されているため、ホビーユーザーやプロの整備士も足しげく通っています。


アストロプロダクツ
全国に150以上の店舗を構える大手工具専門店。
多くの自社製品と、TONEやSIGNETなど国内外の多くのメーカー品の取り扱いがあります。
店舗数の多さと、幅広いジャンルの工具を低価格で提供しているため、プロ、ホビーユーザー問わず人気があります。


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