工具を購入する際、価格はもちろんのこと、知名度やデザインも選ぶポイントとしては重要ですよね?
工具メーカーの数はとても多いので、初めて工具を揃えようという方にとってはどのメーカーがいいのか迷うことでしょう。
そこで今回は、日本国内や世界各国のおすすめ工具メーカーを紹介し、その特徴や人気の理由を紹介します。
最近の値上げラッシュは工具業界も例外ではありません。国産・海外に関係なく各メーカーが値上げをしているので、今まで以上に工具選びに慎重になっている方も多いでしょう。メーカー選びにお役立てください。
工具メーカーの比較・選び方
ハンドツールの使用頻度が高い自動車整備士や各機器メンテナンス業界では、工具の質は作業性に直結するので工具選びにも慎重です。
「工具の質が高い、壊れにくい、デザインがいい」
など好みは様々ですが、参考までに選ぶ際のポイントを解説していきます。
◆メーカーの特徴・得意分野
工具メーカーは国内、海外に数多くありますが、メーカーごとに得意とする分野があります。
使用者の好みもありますが、
「ソケットレンチは〇〇〇で揃えて、メガネレンチは□□□が使いやすい!」というように、道具の種類でメーカーを分けるメカニックも多いです。
◆ブランド力
手に馴染むから、デザインが気に入ったから、という理由ももちろんありますが、「使っている人が多いから」というのも大事なポイントです。
使用者が多い、普及率が高いということは、それだけいい道具という裏付けにもなりますし、そのメーカーの情報、口コミも得やすいです。
◆保証や部品供給の有無
購入後の保証がしっかりしているメーカーは選ぶ価値が高いです。
保証期間は様々で、半年保証や一年保証が一般的ですが、なかには永久保証といった手厚いアフターサービスを行うメーカーもあります。
永久保証は、破損したときに無償交換や無償修理をしてくれるので、道具を長く使う上でかなりの利点となります。
また、保証期間が過ぎていたとしても有償修理や部品供給をしてくれるメーカーが多いです。ラチェットレンチのギアや固定ビス、リペアキットといった部品が出ていると安心ですね。
部品供給という点では、海外メーカーよりも国内メーカーの方が手に入りやすいです。海外メーカーでは物によっては輸入待ちとなり、数ヶ月かかることもあります。
日本の工具メーカー
世界中には数多くの工具メーカーがあり、100年以上の古い歴史を持つメーカーも多いです。世界と比べると日本の工具メーカーはまだまだ歴史は浅いですが、今では世界中のメカニックに認められ、多くの国で愛用者のいるメーカーも増えてきました。
昔ながらの老舗メーカーから、今注目の新興メーカーまで多数紹介します。
※ランキング形式ではありません。
KTC 京都機械工具
1950年創業、京都府久世郡久御山町に本社をおく。
日本を代表する総合工具メーカーで、プロからホビーユーザーまで誰でも扱いやすい工具が揃っています。あまり工具に詳しくない人でも知っている人は多いことでしょう。
工具セットの種類も豊富で、初心者から上級者まで納得できるラインナップを取り揃えています。また、KTCのフラッグシップモデル、nepros(ネプロス)の精度の高さは世界トップレベルです。
ソケットレンチやメガネレンチ等の基本工具だけではなく、自動車整備用の特殊工具やインパクトレンチなども充実しており、KTCで探せばほとんどの道具を揃えることができます。
日本国内で幅広い層に愛用されているメーカーですので、迷ったならKTCを選んでおけば間違いないでしょう。
Ko-ken(コーケン) 山下工業研究所
1946年設立、静岡県掛川市に本社をおく。
ソケットレンチの専門メーカーであり、工具の品質、強度は国内トップレベル。他社では扱っていない特殊なサイズのソケットもコーケンなら手に入り、トルクスなどの特殊形状も多く扱っているため頼りになります。
シンプルなデザインと工具の強度の高さは秀逸で玄人好み。ラチェット等のハンドルやソケットは、全てコーケンで揃えている整備士も多いです。
また、Ko-kenのなかでも上位ブランドのZ-EAL(ジール)は、ソケットレンチ専門メーカーのノウハウが注ぎ込まれた緻密な設計で、ラチェットの空転トルクの軽さは随一。一度使うと病みつきになります。
ソケットレンチといったひとつのジャンルを追求することで常に進化を続け、そのクオリティーの高さは海外でも高く評価されています。
価格も良心的なため、プロに限らずホビーユーザーにも愛用者が多いです。
TONE(トネ)
1925年創業、大阪市浪速区に本社をおく。(旧社名:前田金属工業)
ハンドツールやエアーツールなど、幅広い業種に展開している国内屈指の総合工具メーカー。1938年に日本で初めてソケットレンチを作った工具メーカーでもあり、工具のクオリティの高さは世界トップレベル。なかでも、トルクレンチの質の高さに定評があります。
自動車やバイク整備に限らず、鉄道や船舶などの輸送機械の他、飛行機、ロケットなどの航空設備、産業機械、ビルや鉄塔、橋梁、原子力や石油プラントなど、あらゆる分野に活躍の場を広げています。
トネの工具はホームセンターで購入できる手軽さもあり、リーズナブルな価格でありながら機能性や質感、カラーリング、高いデザイン性で人気があります。初めての工具セットにもおすすめのメーカー。
TOP(トップ)
1939年、新潟県三条市に設立。
工具の産地、新潟県を代表する大手工具メーカー。レンチ類を始めとしたプライヤー、トルクレンチ、スパナ、ニッパーなど作業工具全般を製造、販売しています。
多種多様な製品を取り扱っており、厚みの薄いレンチやモンキーレンチに定評があります。
ANEX(アネックス) 兼古製作所
1949年設立、新潟県三条市に本社をおく。
ANEXは、兼古製作所によるドライバーやビットを主力としたブランド。創業以来、開発から製造まで社内一貫性を実現し、三条市の金属加工技術をベースに独自の生産技術を確立。
強靭なビットや、なめたねじを外す「なめたネジ外し」といったアイデアツールが人気商品です。
ENGINEER(エンジニア)
1978年設立、大阪市東成区に本社をおく。
電気・電子機器業のプロ向け工具を製造しており、ペンチやプライヤーを主力としています。
錆やなめて角が丸くなったボルト・ナットを外す「ネジザウルス」が有名で、自衛隊仕様があるほど実用性と信頼性が高く、人気を博しています。
その他にも、潰れたネジや固着したビスを外すドライバーなどの救出工具を多く手掛け、プロだけでなく、ホビーユーザーから一般家庭にも広く普及しています。
VESSEL(ベッセル)
1916年設立、大阪市東成区に本社をおく。
創業100年を超えるドライバーのトップブランドであり、その国内シェアは半数以上を締めています。グリップエンドの丸いドライバーが有名で、馴染みのある方も多いでしょう。
ホームセンターなど取り扱い店舗も多いので入手しやすく、手頃な価格で販売されているので人気があります。品質の高さからもDIYユーザーのみならずプロにも愛用者が多い信頼性の高いメーカーです。
TOHNICHI(トーニチ) 東日製作所
1949年設立、東京都大田区に本社をおく。
日本を代表するトルク器機専業メーカー。トルクレンチ一筋で研究開発をしてきたメーカーなだけに、その精度と使い勝手はトップクラス。海外からも高く評価されています。
精密器機だから信頼できるものを、という方に選ばれている安心の国産メーカー。
フジ矢
1923年創業、大阪府東大阪市に本社をおく。
ペンチ・ニッパーの国内トップブランド。組み立て、焼入れ、刃付け、研磨といった重要な作業は、職人が手作業で一丁一丁丁寧に仕上げています。
老舗メーカーならではの徹底した品質へのこだわりの高さが魅力です。プロ向けの製品の他、ホームセンターでも見かけることも多くなり手軽に購入できる馴染みのメーカーとなりました。長年親しまれている安心のメーカーです。
IPS 五十嵐プライヤー
1940年創業、新潟県見附市に本社をおく。
プロ仕様のIPS(アイ・ピー・エス)ブランドは、高精度なプライヤーやウォーターポンププライヤーは世界でトップの水準を誇ります。
くわえた物を傷つけないように、くわえ部を樹脂で覆った「ソフトシリーズ」が看板商品。ホビー用として一般ユーザーにも人気があります。
3.peaks スリーピークス技研
1940年設立、新潟市三条市に本社をおく。
ペンチやニッパーを主力とし、切れ味抜群のニッパーは刃の形状や角度違いなどラインナップが豊富です。
三条市伝統の金属加工技術を活かした加工工程のほか、刃の研ぎ出しから合わせ面の微調整といった全ての最終仕上げを職人が手作業で行う高いこだわりで、品質の高い工具を提供してくれます。
スリーピークス独自の機能を持った工具も多く、使い勝手の良さから愛用者が増えています。
HOZAN(ホーザン)
1946年創業、大阪市浪速区に本社をおく。
自転車工具メーカーとして開業し、のちに電子機器工具の開発を始め、ニッパーや電線用工具から電気工事士試験用のセットなどを手掛けます。
電子機器工具を中心に、様々な業種の現場での使用を想定した質の高い工具を取り扱い、そのラインナップは多岐にわたります。圧着工具やワイヤーストリッパー、電気工事士技能試験に適した工具セットなど、質の高い電工工具で人気のメーカーです
アメリカの工具メーカー
Snap-on(スナップオン)
1920年創業。アメリカの大手工具メーカーで、世界で最も有名と言えるブランドです。ハンドル分離型のソケットレンチを発明したメーカーでもあります。
整備工場へセールスマンが工具を積んだ移動バンで回ってくれるバンセールスが有名で、戦闘機や航空関連の整備用にも採用されています。
工具全体の強度が高く、特にメッキは耐久性が高く剥がれにくい。「しなり」が無く感触がダイレクトに伝わる硬度の高いレンチ類が特徴です。
非常に高価ではありますが、品質・強度・耐久性が高く、永久保証付きの工具もあり長く安心して使えます。
昔はスナップオンを買うために働いていたという話もよく聞きます。デザイン性も高く整備士がもっとも憧れる工具メーカーと言えるでしょう。
Mac Tools(マックツールズ)
1938年創業。アメリカをはじめとした世界中に愛用者がいるプロフェッショナルツールメーカー。
スナップオンと比較されることが多いですが、工具の品質・剛性では引けをとらず、ハンドツールは永久保証です。物によってはスナップオン以上の使い勝手の良さがあり、値段も同等に高いです。
日本にも愛用者の多い、所有欲を満たしてくれるハイブランドの工具メーカーです。
ドイツの工具メーカー
KNIPEX(クニペックス)
1882年創業。ヨーロッパを代表するトップブランド。プライヤー、ペンチ、ニッパーなどの握り物工具を専門とする工具メーカー。
代表的な工具に「コブラ」というウォーターポンププライヤーがありますが、ガタつきがなく、食い付きの良さは抜群です。
「プライヤーに関して右に出るメーカーはない。」「握りものはクニペックスを選んでおけば間違いない。」と言われるほど信頼性の高いメーカーです。

HAZET(ハゼット)
1868年設立。ヨーロッパ有数の総合工具メーカー。
1950年からフォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、オペルに専用工具の供給を行い、数年後にはBMWなどのヨーロッパ車への供給も始めました。現在はポルシェモータースポーツのサポートも行う大手メーカーです。
ドイツの工具メーカーらしく耐久性の高さに定評があり、とにかく頑丈。ヘックスソケットが有名で、なめてはいけないここぞという時に使いたい工具。精度と強度の高さは世界トップレベルです。
STAHLWILLE(スタビレー)
1862年設立。ドイツを代表する総合工具メーカー。
スパナやメガネレンチが主力で、軽量な上に強度の高さに定評があります。握った時のフィット感、油が付いても滑りにくい梨地仕上げが特徴。
航空機整備用としても、質実剛健なスタビレーが急速にシェアを拡大しています。

Wera(ヴェラ・ベラ)
1936年創業。ヨーロッパで不動の人気を誇る、ドイツを代表するドライバー専門メーカー。
人間工学に基づいた力の掛けやすいグリップと、ダイヤモンドコーティング・レーザーチップが施されたチップの食い付きの良さは世界最高とも言われています。
ドライバー、ビット、ヘキサゴンレンチが人気商品。
Wiha(ビーハ)
1939年設立。ドイツの老舗工具メーカー。
ドライバーやプライヤー類を主軸とした製品造りを行い、ドライバーではWeraやPB Swiss Toolsにも引けをとらず、プライヤーではKNIPEXと競合しているトップメーカー。
アメリカでの人気が高く、世界中でシェアを拡大しています。
フランスの工具メーカー
FACOM(ファコム)
1918年創業。フランスで圧倒的なシェアを誇る、世界レベルのハイブランド工具メーカー。
72枚ギアの丸型ラチェットハンドルが世界中で高い評価を獲得し、世界一のラチェットハンドルとして知られています。振り幅の少なさと、内歯式のヘッド構造により高トルクに耐えられる強度が魅力。
ラチェットハンドルが有名ですが、その他にも幅広いラインナップを誇るフランスNo.1の総合工具メーカーです。
スイスの工具メーカー
PB SWISS TOOLS(ピービー・スイス・ツールズ)
1878年創業。ドライバーが非常に有名で、世界中で高く評価されている工具メーカー。
先端の加工は素晴らしく精密で、ビスへ吸着するような感覚があります。新素材を使った独自の「スイスグリップ」は、握り心地が非常によく滑りにくい。他とは一味違った使用感を体感できます。
質の高いドライバーを求めるならPBで揃えるのがおすすめです。ドライバーのほかに無反動ハンマー、六角レンチなどが有名で、高く評価されています。
カナダの工具メーカー
SIGNET(シグネット)
1990年創業。工具メーカーとしての歴史は浅いが、低価格高品質な工具で世界中で愛されている工具メーカー。自社工場を持たず、研究・開発は行うが製造は他社に委託しています。
ギアレンチを主力とし、基本工具から特殊工具まで幅広いラインナップを持ちます。プロのメカニックはもちろんのこと、コストパフォーマンスが非常に高いため、日本でもDIY用として多くのユーザーに選ばれています。
ギアレンチにおいては世界トップレベル。

スウェーデンの工具メーカー
BAHCO(バーコ)
1886年創業。世界で始めてモンキーレンチを作ったメーカーとして有名。
鮮やかなオレンジが特徴的なモンキーレンチのトップブランドです。BAHCOでは一貫して「アジャスタブルレンチ」と呼んでいます。
モンキーレンチの他にはニッパーやプライヤー類が秀逸で、人間工学に基づいて設計されたエルゴハンドルは長時間使用しても疲れにくい。キャビネットなどの収納ツールも人気が高いです。
現在はスナップオン傘下。
コスパ重視 工具販売店
安価に工具を購入できるところとして、日本全国に展開している工具販売店の【STRAIGHT】と【アストロプロダクツ】を紹介します。
中国/台湾製の工具を安く購入できるので、工具にお金をかけたくない人や入門用にはおすすめです。
工具だけではなく、自動車・バイク整備の特殊工具、ケミカル類を多く扱っているので、困ったときによく駆け込みます。ホームセンターでは手に入らないものがたくさんあるので、知っておくと助かりますよ!
また、上記で紹介した国内/海外の有名メーカー品も一部取り扱っています。
STRAIGHT(ストレート)
全国に約30店舗の直営店がある整備工具専門店。
販売している工具の多くが自社製品ですが、KTC、Ko-ken、フジ矢、PB Swiss Tools、KNIPEX の扱いもあります。
その他にも、特殊工具、電動工具、エアー工具、ガレージジャッキ、ケミカル用品が低価格で販売されています。
また、ストレートでのみ販売されている国産メーカーFLAG(フラッグ)のソケットレンチは、低価格でありながら永久保証付きと、コストパフォーマンス抜群です。
自社開発製品は面白いものも多いので、一見の価値ありです。


アストロプロダクツ
全国に150以上の店舗を構える大手工具専門店。
多くの自社製品と、TONEやSIGNETなど国内外の多くのメーカー品の取り扱いがあります。
最近ではロイヤルホームセンターにテナントを構えているので、さらに認知度も上がってくるでしょう。
店舗数の多さと、幅広いジャンルの工具を低価格で提供しているため、プロ、ホビーユーザー問わず人気があります。


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